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歌舞伎よもやま話

歌舞伎よもやま話「歌舞伎の色ー白」/ 語り:大城戸建雄

こんにちは。手ぬぐい専門店 麻布十番麻の葉です。

 

今回の歌舞伎よもやま話は「歌舞伎の色ー白」にまつわるお話です。

語りは大城戸建雄氏です。麻の葉の歌舞伎手ぬぐいの原画を手掛け、歌舞伎に精通している大城戸氏による『歌舞伎よもやま話』をご堪能ください。

 

▶過去の歌舞伎よもやま話」はこちら

歌舞伎よもやま話「歌舞伎の色ー白」

 白い雪が舞台に舞いおちる場面はひとしお情緒がある。三角形に切られた紙片だが、心身ともに寒さの増す街道にちらちらと舞いおちる風情は格別である。

 舞台には大道具で「雪布」といわれる白い布が敷かれ、立木に雪が被り、背景には冠雪の山を描く。銀世界の美しさを再現させるのだ。

 《天衣粉上野初花=くもにまごううえののはつはな》の直侍、入谷の蕎麦屋での丈賀との場面、《恋飛脚大和往来=こいのひきゃくやまとおうらい》の新口村。これらの雪の場面には、しっとりと落ち着いた特別な情緒を感じる。新口村の場面は、元々が雨のぬかるみの場面であったという。見た目美しい舞台効果を追求するうちに、雪に落ち着いたのであろうがそこが歌舞伎である。涙の別れという場面だから、流れる雨というのだろうが、視覚的な美しさで言えば、雪が数段勝つている。シトシトと降る雨よりも、シンシンと降りてくる雪の方が深く観客の心にしみてくる。

 親子の情愛、嫁舅の義理ある仲のお互いの思いやり、最後の別れにこれでもかこれでもかと降りしきる雪が、観客の心をとらえて離さない。俳優の演技と共に歌舞伎らしい余情がそこに生まれるのだ。雪の白は全てのものを覆い隠してしまい、人の情念の世界の純粋さを凝視して表現するのにふさわしい。

 《其往昔恋江戸染=そのむかしこいのえどぞめ》火の見櫓に駆け上がり、しきりに太鼓を叩く櫓のお七。降りしきる雪は、逆に燃えさかる女の情念の炎のようにも見える。その炎を白い雪に移し替える歌舞伎独特の演出である。そして歌舞伎舞踊の《鷺娘》にもそのことがいえる。ともに雪の世界なればこそ、格別に愛おしく、哀しく、美しいのである。

 《暫》の鎌倉権五郎景政や《寿曽我対面》の朝比奈、舞鶴など荒事系に出てくる役柄が鬘の髻に付けている「力紙」というのがある。民族的な祭祀の儀式性を表現する奉書紙だが、勇気を象徴しているということだ。白という色の持つ厳粛さ、凛々しさを感じる事ができ、呪術性も鑑みて取り入れられているのであろう。ただそれだけでは衣装の一部として今まで伝わらないと思う。そこには様式としての江戸歌舞伎の美意識として活用された背景があると思えるのだ。庶民にとっては、武士を頼るより、神様の代理である荒事役者を頼りにした。民俗的な神事に関わる要素も取り入れて、様式化したのが江戸歌舞伎の特色である。

 白で忘れてはならないのが、石橋物の純白なあの長い毛である。鏡獅子、連獅子などで表現される「洗い髪」の型は、長い毛を前に垂れ下げ、左右に首を振る。そのために毛が地についたまま揺れて、まるで髪の毛を洗っているように見えるところからその様な型の名がついたという。そしてクライマックスのぐるぐる回す型は「巴」と呼ばれる。特に鏡獅子の後半の勇壮な演技には、一種厳粛な神事を思わせるような演出を感じる。明治時代の劇聖と言われた九代目市川團十郎の振り付けによる歌舞伎舞踊だが、江戸時代から伝わって来た石橋物と違って、明治期の新しい時代好みの高尚な作品に仕立てている。後年引き継いだ六代目尾上菊五郎によって、音羽屋系のお家芸に作り上げられ、今ではその振り付け、様式が確立している。七代目尾上梅幸から現菊五郎、菊之助へ、また十七代目中村勘三郎から十八代目勘三郎へ、そしてまた現勘九郎へと継がれているのである。紅白の牡丹花の前で舞う白頭の獅子の精の勇壮な動きは、近代歌舞伎舞踊の最高傑作である。昭和十一年五月に来日したフランスの芸術家、ジャン・コクトーが六代目菊五郎の鏡獅子を観て「神が降臨した!」と言葉を発したという。その荘厳な芸術性は世界に認められるのである。

 紙片、鬘、化粧など、白は歌舞伎にとって特別な、神聖な色といえる。

「歌舞伎よもやま話」に関連する手ぬぐいはこちら

「歌舞伎よもやま話」はいかがでしたか?

 

麻の葉では、今回の歌舞伎よもやま話に登場した「歌舞伎の白」や「歌舞伎の雪」に纏わる手ぬぐいをご用意しています。

手ぬぐい「新口村」

手ぬぐい「新口村」

歌舞伎よもやま話の筆者・大城戸建雄の原画による手ぬぐいです。

歌舞伎よもやま話に取り上げられた「新口村」を染め上げました。

手ぬぐい「忠臣蔵」

手ぬぐい「忠臣蔵」

歌舞伎よもやま話の筆者・大城戸建雄の原画による手ぬぐいです。

歌舞伎よもやま話で取り上げられた「雪片」が印象的な忠臣蔵のワンシーンを染め上げました。

手ぬぐい「暫」

手ぬぐい「暫」

歌舞伎よもやま話の筆者・大城戸建雄の原画による手ぬぐいです。

歌舞伎よもやま話で取り上げられた「暫」を染め上げました。

手ぬぐい「鏡獅子」

手ぬぐい「鏡獅子」

歌舞伎よもやま話の筆者・大城戸建雄の原画による手ぬぐいです。

歌舞伎よもやま話で取り上げられた「鏡獅子」を染め上げました。

手ぬぐい「連獅子」

手ぬぐい「連獅子」

歌舞伎よもやま話の筆者・大城戸建雄の原画による手ぬぐいです。

歌舞伎よもやま話で取り上げられた「連獅子」を染め上げました。

手ぬぐいを通して、歌舞伎を楽しんでいただければ嬉しいです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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