ハレとケを行き来する、日本の暮らしと藍染め手ぬぐい
「褻(ケ)」 続いていく、何気ない日常
一方で「褻(ケ)」は、日常のいつもの一日。
暮らしの大半は、この「ケ」でできています。
派手ではありませんが、積み重なっていくことで、暮らしそのものを形づくる時間です。
日本文化の面白さは、ハレとケを上下で分けないところにあります。どちらも等しく大切にし、行き来することで、暮らしのリズムが整うと考えられてきました。
特別な日があるから日常が尊く、日常があるから特別な日が際立つ。その行き来の中で、暮らしは少しずつ整っていく。そんな考え方が息づいています。
藍は日常の暮らしに寄り添ってきた色
藍染めと聞くと、どこか特別で、敷居の高いものを想像される方もいるかもしれません。
江戸時代には、町人や農村の人々が身につける着物や手ぬぐいをはじめ、暮らしの中で使われる布に広く用いられてきました。
汚れが目立ちにくく、丈夫で、使い込むほどに風合いを深めていく…
藍は、日々の暮らしに寄り添いながら、親しまれ、受け継がれてきた日本の伝統色でした。
徳島の本藍染め —— ケの色からハレに至るまで
ここで「阿波藍染め手ぬぐい」について、少し触れたいと思います。
当店の「阿波藍染め手ぬぐい」は、徳島の藍染め作家の原田史朗さんが自身で藍をたてるところから始まります。
発酵の状態を見極め、毎日手を入れ、藍と向き合い続ける時間……その積み重ねを経て、深みがあり芯のある藍色が生まれます。
この藍の仕事は、2021年、原田さんが今上天皇陛下に献上した作品としても結実しました。
日本の最高位の場に届けられる、まさに「ハレ」の極みにある仕事です。
しかし、この藍染め作品は、特別な場所に留まるだけではなく、献上作品の意匠をもとに、日常で使える藍染め手ぬぐいとして生まれ変わりました。
気品や美しさを損なうことなく、細部にまで心を配りながら、暮らしの中で使われる布へ。
特別なものを特別なまま遠ざけるのではなく、日常へと戻していく。
ハレとケを行き来する、日本の暮らしそのもののようです。

















