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【歌舞伎よもやま話】第四話「余談」 / 語り:大城戸建雄

こんにちは。手ぬぐい専門店 麻布十番麻の葉です。

歌舞伎にまつわるよもやま話をお届けします。語りは大城戸建雄氏。歌舞伎の手ぬぐいの原画を手掛ける歌舞伎エキスパートによる歌舞伎のエピソードをどうぞご堪能ください。

歌舞伎よもやま話「余談」

近年「コクーン歌舞伎」「スーパー歌舞伎Ⅱ」「六本木歌舞伎」「赤坂歌舞伎」という、若い歌舞伎俳優たちの、奇想天外で、マンガチックな、スピードと華やかな物語が展開される舞台公演が頻繁に興行される。
明治期の文明開化、そして第2次世界大戦後の教育による、日本人独自の思考性や感情表現が失われつつある反面、自由主義、民主主義的イデオロギーなどが、善かれ悪しかれ、日本人の中に育ってきたということの緩さを感じた。
敗戦後45 年で昭和が終わり、平成という時代を引っさげて、日本はさらに、速いスピードで変化している。コンピューターを始めとするニューメディアの発達が、情報化社会をつくり出し、新たなコミニケーションのあり方が、歴史的かつ伝統的な日本文化に新しい変化を与えている。
このような背景のもと、ここ30 年ばかりですっかり舞台芸術の形態が変わってしまったことは誰しも実感とするところだろう。歌舞伎の世界も、実験的な演出や、新しく生まれてきた劇団とのコラボレーション、テレビやコミックに刺激された脚本による新作上演が年々生まれていることが現代の日本の演劇界の実情のようである。
近代歌舞伎劇に於いて、明治期には九代目市川團十郎による活歴物というジャンルが創作されたり、人気小説家などによる新歌舞伎が多く生み出されたことなど、常に時代とあゆみを揃え、新しい改革、革新への挑戦が多くの俳優たちによってなされてきた。そして幾つもの名作が産まれたのは事実だ。が、その名作の上演が序々に少なくなっている。日本人の嗜好性の変化なのだろう。
特に現今、若い俳優たちが目指そうとしているのは、スーパー歌舞伎を確立した三代目市川猿之助(現二代目猿翁)だろう。次いで十八代目中村勘三郎など、どんどん新しい感性を歌舞伎に吹き込んできたが、彼らは、同時に歌舞伎400年の伝統芸を生み出した伝承もきっちり受け継いでいた。
しかし、平成に入って、歌舞伎界は、古典歌舞伎の継承と歌舞伎風舞台との二極分化の様相を呈している。それは、先人が残した歌舞伎の型や、役柄の心底にあるものの表現に苦心を重ね、歴史的な、日本人の心根を感じさせる演目の上演回数が急激に少なくなっている事でも明白だ。同時にそのような演目に、現代を反映させるような工夫、役づくりをないざりにしている。
商業劇場では、集客力(テレビの視聴率と同じ感覚で)重視の、タレント俳優や新奇な演出脚本を選択するばかりで、古典的、伝統的な藝の継承に繋がらない。ただ見得を切ったりケレンで話題づくりをしたり、奇抜な舞台で観客の喝采を浴びたりと、歌舞伎の一部の手法を使って、さもこれが歌舞伎だといわんばかりに誇張した演出も見られる。そのような芝居の上演を、若手歌舞伎俳優が優先するようになって、劇場側が後押しするのであるが、私にはこれらは、歌舞伎劇史の余録としか思えない。

手ぬぐい「助六」

筆者 大城戸建雄原画の手ぬぐい「助六」
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